schopenhauerのブログ

唯識とショーペンハウアーの研究

最後の一人

空を見上げてなんて明るい月なんだろうと彼は思った


彼は一人で旅をしてきた


旅をする情熱は元々なかったがもう900年旅を続けている


ここ十数年は集中的に


彼はもうほぼ1000歳で死期が近かった


900年前やっと大人になったころ一人になってしまったのだ


数億年生き自然に滅んでいった種族の最後の一人になったのである


住んでいた星は母星ではなく共感できる動物もいなかったし


母星がどこかはもう分からなかった


彼は幾度か安楽死を考えた


生きる意味もなかったが死ぬ意味もなかった


宇宙は広く永くやっと見つかるのは文明の痕跡や単細胞生物だけだった


一人が旅をして出会うのはそんなものであった


彼の種族は恒星間旅行など何の興味もなかったしもう宇宙地理学もなかったのだ


彼は高等な生物に会いたかった


そして偶然に彼は地球を見つけのである


終わりに高等な生物の中で種族の死を迎えようと思う


自由な彼でも死期を迎えてできるだけ楽しく過ごそうと思う


まだ内的な自由がなく盲目の意思で生きている人類には興味がなかった


様々なつまらないことで時間を潰したくなかったからだ


彼が特に興味を引かれたのが鳥であった


鳥は賑やかで快活でおとなしい


動物を飼いならす時間はなかったので彼は終わりの場として自然と植物と鳥を選んだ