最後の一人
空を見上げてなんて明るい月なんだろうと彼は思った
彼は一人で旅をしてきた
旅をする情熱は元々なかったがもう900年旅を続けている
ここ十数年は集中的に
彼はもうほぼ1000歳で死期が近かった
900年前やっと大人になったころ一人になってしまったのだ
数億年生き自然に滅んでいった種族の最後の一人になったのである
住んでいた星は母星ではなく共感できる動物もいなかったし
母星がどこかはもう分からなかった
彼は幾度か安楽死を考えた
生きる意味もなかったが死ぬ意味もなかった
宇宙は広く永くやっと見つかるのは文明の痕跡や単細胞生物だけだった
一人が旅をして出会うのはそんなものであった
彼の種族は恒星間旅行など何の興味もなかったしもう宇宙地理学もなかったのだ
彼は高等な生物に会いたかった
そして偶然に彼は地球を見つけのである
終わりに高等な生物の中で種族の死を迎えようと思う
自由な彼でも死期を迎えてできるだけ楽しく過ごそうと思う
まだ内的な自由がなく盲目の意思で生きている人類には興味がなかった
様々なつまらないことで時間を潰したくなかったからだ
彼が特に興味を引かれたのが鳥であった
鳥は賑やかで快活でおとなしい
動物を飼いならす時間はなかったので彼は終わりの場として自然と植物と鳥を選んだ
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