実在が観念であるということは
直観（世界）が美でありそれは五感そのものですから
対して精神は自我や欲望、感情や言葉のことで
我々の生活ではその二つが一体でありながら対立しており
精神は実在ではないのですから
初期のままの形では必要ないことを示唆するために
五つの感覚について書いております。

たとえばこれはその理想の女性とくちづけを交わしたとき
その実在は
愛し合ってしまった二人の
二つの体の二つのくちびるが触れ合っているなどとする認識ではなく
また精神に湧き起こる欲望や感情ではなく
単なる一つになったその触感がそれであるということであります。

身体の痛みの実在は
体の神経がどうのこうのなどというものなのではなく
またそののちに起こる感情や知的解釈などでもなく
それは痛みそのもののことなのであり
宇宙の実在というのも物質がどうのこうのなどというものではなく
ただ感覚に現れたもの
それは美の範疇に属するものなのであるということを
主張することなのであります。