schopenhauerのブログ

唯識とショーペンハウアーの研究

想像の中で知りえたこと

男はyoutubeを見ていた。その動画は幾度となく見たがある場所や時代や風景が流れ、ある女の子供時代が展開されている。雪の町を女が運転しているというのもあった。その動画はその女が作った歌のプロモーションビデオであった。


男はいつもそれを見ながらその雪の町はむつ市なのか弘前かどこかの津軽なのか分からず悩むのだった。そしてその女の故郷への思いがなぜこんなに強いのか興味を感じていた。それは外国にいる日本人が日本を懐かしむほどのものに見えるからだ。


彼女には故郷が二つあった。むつ市と津軽だった。


むつ市の大湊で彼女は生まれた。その女の子はそれほど大きくはないがキョロっとした目をして世界を珍しく眺めた。


その驚きの感性が今も彼女に創作活動をさせているのではないかとわたしは思う。生まれたときを誰も覚えていないように彼女もそれは自覚してはいないだろうが。


彼女は一人っ子で父と母と祖母に愛されて育った。八歳のときに彼女は父の都合かなにかで津軽に引っ越した。転校のとき彼女はクラスメイトに鉛筆を送って別れた。


十八才まで津軽で育った彼女はその後東京に出て素晴らしい歌を作った。純で深い感性を正直に表現する彼女は寂しがりやで子供っぽいところがある。


さまざまなことに興味持つ人間は大人になるのが遅いし、四十二歳というのは寿命が延びて多様な時代ではやっと落ち着き始めた年と言えるのではないだろうか。